今回はレースを問うものではなく、
ルックスザットキルにスポットを当てて考えていくコーナーにしたい。
そもそもルックスザットキルは外国産馬を直輸入し
わざわざ南関東で走らせてるという近年では異質の競走馬で、
12万ドル(およそ1500万)でセリ落とされた馬という背景がある。
デビュー以降1200mでは9戦8勝。
圧倒的なスピードに疑問符をつける人も少ないだろう。
ただ問題とされている1400m1600mへの適応は
陣営が過去の2戦から放棄したという形だろうか。
しかし、この馬も着実に進化を遂げている。
今回の習志野きらっとスプリント、前走の優駿スプリント、
それまでのレースと大きく違うのはスタートダッシュだ。
スプリントトライアルでは随分とハナに立つのに苦労していた結果、
アクティフ以下に足元をすくわれてしまった。
スプリントトライアル以前はスタートダッシュ自体こそうまくはないものの、
二の足で挽回しそこからハナを取ることが多かった。
しかしスプリントトライアルではやはりメンバーもそろったことから
そう簡単にはいかなかった。
結果は知ってのとおり惨敗、
だがここからルックスザットキルは大きく変わった。
優駿スプリントのハナの取り方は言うまでもないだろう
スピード任せのスプリンター まさにこんな逃げ方だった。
そして今回の習志野きらっとスプリント初の左回りが思いのほか効いたのか
ハナに立つことこそなかったもののゲートからの飛び出しは一番であった。
スプリントでは初歩の取り方というのは非常に重要で、
それを馬がわかってきているのだろう。そしてもう一つの収穫、
それはハナに立たずともしっかりと直線での足があったというところだ。
「2着であるサトノタイガーと5kg差もあるじゃないか」
そんな意見も聞こえてきそうだが、
つい半年前に中央のG3で2着の馬にハンデ差があるとはいえ
勝てたわけである。
このことは手放しに喜んでいいのではないだろうか。
とはいえ、まだ課題は山のように残っている。
今回1000mを使ったわけだが、
これまで一定距離を走ってきたスプリント馬が距離短縮
→延長で戸惑ったり、あるいは力を発揮できなかったり、
そういう事例が多いのもまた然り。
また、左回りの4角でモタレていたように、
ある程度の経験が必要だろう。
陣営の今後の選択も気になるところだ。
ルックスザットキルやクロタカ・
ハッピースプリント、生え抜きの地方馬も着実に力をつけてきている。
いつの日か再び地方馬が中央G1を取れるその日を心待ちにしたい
だけの傾向を思い返してもらいたい