以前、競馬ファンの中でささやかれていたディープインパクト産駒は芝3,000m以上で成績を落とすという通説。
2010年にデビューしたディープインパクト産駒が芝3,000m以上の距離で勝利したのは2016年のサトノダイヤモンドの菊花賞。2歳戦で芝3,000mのレースがないため2011年~2015年まで勝利をつかむことができなかった。
その後は記憶に新しいコントレイルの三冠をはじめ、ワールドプレミア、フィエールマンなど複数の馬が芝3,000m以上のレースで勝利をしている。今回は本当に芝3,000m以上のレースでディープインパクト産駒は成績を落とすのか検証していく。
ディープインパクト産駒の芝3,000m以上の成績
2022年10月20日現在のディープインパクト産駒の芝3,000m以上の距離でのディープインパクト産駒の成績は上記の通り。
全体で10回の勝利実績があり、内訳としては、菊花賞(サトノダイヤモンド、フィエールマン、ワールドプレミア、コントレイル)で4勝、天皇賞春(フィエールマン、フィエールマン、ワールドプレミア)で3勝、阪神大賞典(サトノダイヤモンド)で1勝、ステイヤーズステークス(モンドインテロ)で1勝、松籟ステークス(ディアスティマ)で1勝となっている。
サトノダイヤモンドが2勝、フィエールマンが3勝、ワールドプレミアが2勝と複数勝利している馬がいるため、勝ち馬としては6頭となり少ないことがわかる。
勝率8%、複勝率30.4%の数字は、ディープインパクト産駒の芝レース全部の勝率13.4%、複勝率34.8%と比較すると複勝こそ同水準だが、勝率は低いのが特徴。
しかし、1番人気に支持されている馬については(5-0-0-1)と高確率で勝利しており、1番人気に支持されていれば狙えるといえる。
着外になったのは21年のレッドジェネシスの菊花賞。前哨戦の神戸新聞杯が非常に悪い馬場で消耗の激しいレースとなったため、同レースに出走した馬は全て次走のレースで3着以下に敗れており例外と捉えることもできそうだ。
ディープ産駒芝3,000m以上の競走での特徴
- 芝全体の勝率と比較するとやはり勝率は低い
- しかし、複勝率でいえばディープインパクト産駒の水準通りの成績
- 10勝中7勝が3頭の複数勝利によるもので、勝ち馬は6頭しかいない
- 1番人気に支持されていれば高確率で勝利している
芝3,000mでのディープインパクト産駒の成績
つづいて、阪神大賞典、菊花賞と同距離の芝3,000mへ限定するとどのような成績になるのか見ていく。
芝3,000mの距離へ限定すると、勝率は微増するが基本的には前述の数値とは異ならない。しいて言えば1番人気の単勝回収値が10円、複勝回収値は17円上がっている。初の3,000mという長距離戦で探り探りのオッズとなりがちな菊花賞に妙味がある。
しかし、気になる点として京都コースの改修に伴い阪神で行われる芝3,000mではどのような成績になるのか?ということだろう。
阪神芝3,000mのディープインパクト産駒の成績
京都コースと比較して直線で急坂のある阪神コースでは芝3,000mの競走では坂を2度上ることになりよりタフなコース形態と言える。中距離での瞬発力勝負を売りとしているディープインパクト産駒においてはやはり不利な条件と言えそうだ。
母数が少ないため評価はしづらいが、勝利したのはサトノダイヤモンドの菊花賞のみとなる。続いて、詳細な内訳をみていこう。
こちらが阪神芝3,000mへ出走したディープインパクト産駒の11頭のラインナップ。
トーセンカンビーナ、メイショウテンゲンが2,3着に好走した阪神大賞典は勝ち馬がユーキャンスマイルで出走メンバーを見渡しても、それほどレースレベルは髙くなかったように映る。
一方でデニムアンドルビー、ラストインパクトが2,3着に好走した阪神大賞典は勝ち馬がゴールドシップでその後、天皇賞春も勝利しておりレースレベルとしては水準級にはあったと考えられ、デニムアンドルビーはオークス3着、ジャパンカップ2着、宝塚記念2着、ラストインパクトはジャパンカップ2着、ドバイシーマクラシック3着とG1でも勝負になる実力を持ち合わせていた。
昨年の菊花賞ではディープモンスターが掲示板がやっとという成績だが、日本ダービーで16着だった馬ということで健闘したと言える。レッドジェネシスは馬場の悪い神戸新聞杯がこたえた結果で、条件戦から参戦したノースザワールドの惨敗は仕方なしと言える。
以上のことからポイントとしては、下記のことが言える。
ディープ産駒 阪神芝3,000mの競走での特徴
- 芝3,000m全体の勝率と比較するとやはり勝率は低い
- メンバーレベルが低ければ好走の可能性もあるが基本はG1で勝ち負けできる実力が必要
3歳世代では京都コース改修での菊花賞実施はイレギュラーで例年以上にタフな条件となり、長距離適性だけではなく総合力の高さが問われる一戦になる。2022年の菊花賞は皐月賞、ダービー上位馬が不在のメンバー構成で最有力がディープ産駒のアスクビクターモア。
アスクビクターモアは日本ダービー3着の実績がありG1で勝ち負けできる実力はあると想定できるだけに注目。しかし、1番人気は譲る可能性もあり、データ的に過信はできないのと過去1番人気に推された馬と比べると実績的にもう一声足りない印象も受けるが、どうか。
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